PRP療法の特徴

PRP(Platelet-Rich Plasma)とは、多血小板血漿を意味し、血小板を濃縮した血漿成分を指しています。PRP療法は、患者さんの血液から抽出したPRPを投与する再生医療です。PRPには多くの成長因子が含まれており、その働きを活用することで人が本来もっている自己治癒力を高め、組織修復や炎症抑制などの効果が期待されます。歯科領域では、損傷した歯周組織の再生療法として広く用いられています。

期待される効果

  • 投与されたPRPから産生される豊富な成長因子による組織修復
  • 投与されたPRPによる抗炎症作用

論文で報告されている対象疾患

根尖切除術との併用、歯周外科治療との併用、歯科インプラント治療との併用、抜歯後の抜歯窩への投与、歯牙移植・歯牙再植治療との併用

ASCs療法の特徴

ASCs療法とは、脂肪由来幹細胞を用いた治療法です。安確法下では第2種再生医療技術に相当します。患者さんから微量の皮下脂肪を採取し、その中の幹細胞を抽出・培養後、患部に投与します。従来の治療法では回復が見込めない、より重度な歯周組織欠損部にASCsを移植することにより、歯周組織再生が期待できます。また、歯科インプラント治療が必要な部位の土台となる歯槽骨が十分量存在しない場合、自家骨移植を行い治療部位の骨の造成を図りますが、患者様に与える身体的・精神的負担が問題でした。最近、骨の造成を図るためにASCsを自家骨や人工骨とともに移植する骨再生治療も行われており、良好な結果が得られています。ASCsから産生される豊富な成長因子によって歯周組織の再生や新生骨の増加が促されると考えられています。

ASCs:Adipose derived Stem Cells:脂肪由来幹細胞

期待される効果

  • 喪失した歯周組織の再生促進
  • 骨増生の促進

論文で報告されている対象疾患

中等度以上の慢性歯周炎、歯牙欠損部位の骨造成

飛田 護邦

  

研究開発責任者
順天堂大学
革新的医療技術開発研究センター
先任准教授
医学部歯科口腔外科研究室

海上自衛隊及び米バイオベンチャーにて脂肪由来幹細胞の研究開発に従事しました。厚生労働省医政局研究開発振興課(現研究開発政策課)再生医療等研究推進室、医薬品医療機器開発総合機構(PMDA)再生医療製品等審査部での勤務を経て、順天堂大学にて、歯周組織再生技術の研究開発及び細胞培養加工の外部委託を前提とした再生医療オペレーションの最適化に関する研究を進めています。

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